【理科教育法】 ブルーナーの発見学習とは

理科教育法というよりは教育心理学の範疇なのですが、理科教育法を学ぶにあたってやっぱり知っておきたい前提知識なので、取り扱っておきます。


さて、1957年10月4日に、何が起こったのか。
ソビエト連邦が人工衛星スプートニク1号を打ち上げることに成功したのです。
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スプートニク1号のレプリカ

それがどうした、という感じがするかもしれませんが、これ、アメリカにとっては「事件」といっていいくらいショッキングな出来事だったんです。詳しい話は、昭和44年の指導要領のところでしてあります。

ということで学校教育、特に自然科学教育を何とかしたいわけです。
も少しいうと、デューイによる、子どもの興味・関心に寄り添う「進歩主義教育」では、科学技術のような子供の身の回りと離れていることは子どもの興味・関心が向きにくくなります。それで「這い回る経験主義」とか揶揄されるわけですが、科学技術に興味関心が向かなければ、科学技術に優れた人材ができず発展せず、その結果ソ連に出し抜かれてスプートニクショックが起った!ってわけで、こいつを何とかしないといけないというわけです。

そして全米の科学者や教育者が集まったウッズホール会議で議長だったブルーナーは、「どの教科でも,知的性格をそのままにたもって, 発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる(『教育の過程』より)」という仮説の下、学問の本質となる「構造」を発見させることで「発見学習」を提唱したのです。
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これ、ちょっと難しいですね。
「どの教科でも,知的性格をそのままにたもって, 発達のどの段階のどの子どもにも効果的に教えることができる(『教育の過程』より)」という仮説ですが、『教育の過程』という本自体、この仮説を検証している構造になっています。

「どの教科でも発達のどの段階のどの子どもにも」ということは、やり方次第で幼稚園児に微分積分を教えることが可能だということです。やり方次第ですが。

ここでポイントになってくるのが「レディネス」です。「レディネス」とはあることを学習するにあたって必要な前提となる知識や経験、そして心身の「準備OK!」といえる状態のことで、「準備OK!」ならば学習が成立しやすくなります。ブルーナー的にはレディネスが形成されるまで待つのではなく、学習によってどんどんレディネスを形成していこうというスタンスです。

幼稚園児に微分積分を教えるのだったら、まず四則演算ができるようにして、そのためには数字を覚えて…という感じですかね。
ちなみに幼稚園児に整関数の微分積分程度をできるようにするのは案外難しいことではないという話を聞いたことがあります。しょせん、微分積分は機械的な操作の積み重ねなので、訓練してやり方さえわかれば幼稚園児でもできなくはないんだそうです。
でも、機械的な操作の積み重ねと言ったら、それこそAIに真っ先にとって代わられる、というか整関数の微分積分だったら、AIじゃないそこらへんのパソコンでも計算するプログラムなんてすでにありそうじゃないですか。
そんな訓練を幼稚園児にさせるんったら、お絵かきやお遊戯させていたほうがずっといい気がします。


そして「構造」。学問や学習する事柄の本質をさすということですが、理科でいえば保存概念とか粒子概念とかいうアレみたいなものですかね。あるいはもっと普遍的な何かのようにも思えますが、この「構造」とか本質を捉えることができれば、学習内容を理解することができるわけですね。特に物理なんかそうじゃないでしょうか。その「構造」とか本質がつかめるフックのようなポイントを私なんかは「一気にわかるスイッチ」とか「自転車のカギ」と呼んでいます。

とはいえブルーナーの発見学習も、教師が教え込むのではなく、仮説を立てて検証することで問題を解決していくという点では、問題解決学習と同じです。

「発見学習」は問題解決学習をベースに、その欠点であった「子供中心主義」による偏りを、「構造」の発見や理解を加えることで教科・学問寄りに修正したもの、と捉えるとわかりやすいかもしれません。

また、探究の過程を通して自然科学の基本概念が習得できるよう、教材の配列や構成を系統的・構造的に変えています。これが「構造化」と呼ばれるものです・

ただし、ブルーナーの発見学習は「仮説を立てて検証する」などの「科学の方法」を身に付けること重視していて、そこから得られた結論自体はどうでもいいそれほど重きをおいていないという点も忘れてはなりません。
マンネリ化してつまらない実験を繰り返すことや、日常生活とかけ離れた「学校理科」になって理科嫌い・理科離れが生じるようになったのではないか、という批判が出されるようになったという話は、最初に紹介した昭和44年改訂の学習指導要領のところで出てきた通りです。
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