気団の定義に「高気圧」条件を入れるか?

この前も気団と高気圧の話がありましたが、今日はもうちょっと気象学よりの話です。
「気象とその変化」のカテゴリに入れましたが、中学の範疇をはるかに超えます。

気団については、その定義に高気圧であることを条件(前提)に入れたものと入れないものの2つがみられ、それはそれで一癖ありそうなのです。

【入れない】
気象庁では「気団」を
広い範囲にわたり、気温や水蒸気量がほぼ一様な空気の塊。
と定義していますし、
教科書でも
気温や湿度が広い範囲でほぼ一様な空気のかたまり
というような気象庁と同様な説明をしています。

それから気象予報士を目指す人のバイブルといわれる小倉義光「一般気象学」(東京大学出版会)でも
大陸や海洋のように、水平の広がりが1,000km以上にわたって表面の状態が一様である地域に、大気が長い間(たとえば1週間以上)停滞していると、特有の性質をもった空気の塊ができあがる。これを気団という。
なんて書かれています。
3366-1.jpg


いずれにしろ、高気圧なんて言葉は登場しません。

そもそも、赤道低圧帯でできる赤道気団、そしてそこから発達してくる熱帯低気圧や台風は紛うことなき低気圧ですが、気団として扱われていますし。


【入れる】
ところが一方で、気団は高気圧を前提にしていると思われる記述もみられます。

その筆頭がWikipediaで
気団(きだん)とは、停滞性の高気圧により、気温や湿度などの性質が水平方向に広い範囲にわたってほぼ一定になり、一つの塊と見なせるようになった状態をいう。1930年にスウェーデンの気象学者であるトール・ベルシェロンが定義し、分類を行った。
とあります。

とすると、赤道低圧帯でできる赤道気団、そしてそこから発達してくる熱帯低気圧や台風は低気圧だからこの定義には入らない、気団ではないということになります。

また、ある出版社のサイトの中に、気団の定義を
移動しない,または,移動しにくい停滞性の大規模な高気圧
としている記述があります。



自分は「入れない」派ということは別にしても、気象庁や教科書が、さらに気象学の専門書が同一の見解をしているので、現在の日本の気象学上では「入れない」という定義が正しいのではないかと思いますが、だとすると、どうして「気団は高気圧」という誤解が生じたのかが気になります。

中学理科教師として思いつくのは、中学理科では台風を気団という目では見ていないというのはありますが、これは教育現場ローカルの話です。

もう一つ考えられる理由として、最初に気団という概念を提唱したトール・ベルシェロンの定義に「気団は高気圧だ」という前提が入っていたのということが考えられます。

ただし、それを検証するにはWikipediaが
1930年にスウェーデンの気象学者であるトール・ベルシェロンが定義し、分類を行った。
としている記述のもとになる論文を確認する必要があります。

その論文はおそらくこれだと思うのですが、ネットや大学図書館を利用したのですが、今回ばかりは入手できませんでした。
pH低温やけどマンボウのときは見つかったので、今回もいけると思ったのですが、失敗に終わりました。
Bergeron, T., 1930. Richtlinien einer dynamischen klimatologie. Meteorologische Zeitschrift, v. 47 (7), p. 246-262.


かわりに、気候学の発展(「天気」Vo1.29,No.6,1982)という気象学史や70才の誕生をむかえたベルシュロン教授(天気 8.12 p.32)とかいうほのぼの記事を拾ったので、せっかくなのでリンクを張っておきます。
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