【水溶液とイオン14】 中和と塩(3) 中和をイオンのモデルで考える

今日は、前々回に実験した「中和」をイオンのモデルで考えてみましょう。

塩酸や水酸化ナトリウム水溶液では、それぞれ塩化水素や水酸化ナトリウムが電離してイオンになっています。
HCl → H+ + Cl
NaOH → Na+ + OH-

次の(0)は、ビーカーに入っている塩酸と、加えようとする水酸化ナトリウム水溶液、ぞれぞれ電離しています。
この段階ではまだ水酸化ナトリウム水溶液を加えてはいません。
3257-1.png
このときの水溶液は何性でしょうか。塩酸ですから酸性と分かりますが、モデルの図からもわかります。
見分け方は、こうです。

H+があれば酸性
OH-があればアルカリ性
どちらもなければ中性

(0)は

H+があるので酸性です。


では、NaOHをちょこっと加えてみましょう。
すると、H+ と OH- は一緒の空間に共存できず、すぐに
H+ + OH- → H2O
3257-5.jpg
の反応が起きてしまいます。
10-7mol/Lレベル以下で「共存している」という話はおいといて

それが次の(1)です。
3257-2.png
加えたはずのOH-がありません。H+と反応して、両方とも消えてしまったのです。
いや、ビーカーの中にH+があるじゃんという反論が聞こえそうですが、最初2個あったにH+が1個に減っているのにお気づきでしょうか。この減った1個の水素イオンこそが中和して水になったものです。
中和はH+とOH-が同じ数だけ反応するので、両者の個数が違うと、多いほうが余ってしまうのです。
このビーカーにBTB溶液を入れると何色になるでしょうか。そう、H+があるから黄色になります。
したがって、ここでは中和は起こったものの、中性ではありません。中性にならなくても中和反応は起きているのです。
ちなみに、H2Oはイオンではないし、水溶液だからもともと水はたくさんあるので書かないことも多いですが、ここでは中和の結果できたよということを示すためにあえて残しておきます。


では、さらにNaOHをちょこっと加えてみます。
3257-3.png
(1)で1個だけ残っていたH+が、加えられたOH-と反応してなくなり、H2Oがもう一つできています。
このビーカーにBTB溶液を入れると何色になるでしょうか。H+もOH-もないから中性、すなわち緑色になります。
この状態で水を蒸発させると、Na+とCl-が結びついて結晶になった塩化ナトリウムNaClが残ります。


さらにしつこくNaOHをちょこっと加えてみます。
3257-4.png
このビーカーにBTB溶液を入れると何色になるでしょうか。OH-がありますね。アルカリ性だから青色になります。
そして、このときのイオンの種類と数を(2)の時と比べてみると、ちょうど(3)ではNa+とOH-が1個ずつ増えて、それ以外は変わっていません。
もともとNa+とOH-を1個ずつ加えたので当たり前といえば当たり前なのですが、つまりここでは何もおこっていません。何も起こっていないのですから、当然、中和も起こっていません。


中和はH+とOH-が出会って起こりますが、すでに(2)の時点でH+がいないので、出会いがおこりようがないのです。

(0)(1)(2)(3)のときの各イオンの数、液性とBTBの色、それぞれの溶液を蒸発乾固させたときに残る結晶を表にまとめてみました。

(0)(1)(2)(3)
H+の個数
Na+の個数0123
OHの個数0001
Clの個数2222
液性酸性酸性中性アルカリ性
BTBの色
結晶なしNaClNaClNaCl、NaOH


「結晶」について、(2)はNaClというのはわかると思いますが、(1)のビーカーには中和済みのNaClのほかに未反応のHClがあります。ところが塩化水素HClは気体ですので、蒸発させるとHClもなくなってしまい、結局は中和でできたNaClのみが残ります。一方(3)のビーカーには中和済みのNaClのほかに未反応のNaOHがあります。NaOHは結晶として残るので、NaClとNaOH、2種類の結晶が見られます。

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