中学理科で解ける センター試験2019 生物基礎編

大学入試センター試験は、高校の学習内容をもとに出題されているわけですが、理科の基礎科目については、よくみると知識レベルは中学校の範囲だったりします。とすると、3年間の理科の知識が定着していて、かつ思考力をフル回転させれば中学生でもなんとかできてしまう問題は何問か紛れています。

2019年度のセンター試験からそんな問題を拾っていきましょう。
第3弾は生物基礎です。
生物基礎も高校で出てくる用語が多いので問題数は少ないのですが…そうすると思考力勝負か?

第1問
問3 ニワトリの肝臓に含まれる酵素の性質を調べるために過酸化水素水にニワトリの肝臓片を加えたところ. 酸素が盛んに泡となって発生した。この結果から. ニワトリの肝臓に含まれる酵素は,過酸化水素を分解し酸素を発生させる反応を触媒する性質をもつことが推測される。しかし,酸素の発生が 酵素の触媒作用によるものではなく. 「何らかの物質を加えることによる物理的刺激によって過酸化水素が分解し酸素が発生する」という可能性「1」, 「ニワトリの肝臓片自体から酸素が発生する」という可能性「2」が考えられる。可能性「1」と「2」を検証するために,次のa~fのうちそれぞれどの 実験を行えばよいか。その組合せとして最も適当なものを下の①~⑥のうちからーつ選べ。
a 過酸化水素水に酸化マンガン(Ⅳ)を加える実験
b 過酸化水素水に石英砂**を加える実験
c 過酸化水素水に酸化マンガン(Ⅳ)と石英砂を加える実験
d 水にニワトリの肝臓片を加える実験
e 水に酸化マンガン(IV)を加える実験
f 水に石英砂を加える実験
酸化マンガン(Ⅳ):「過酸化水素を分解し酸素を発生させる反応」を触媒する。
**石英砂:「過酸化水素を分解し酸素を発生させる反応」を触媒しない。
3175-1.jpg


 なんというか、壮大な読解問題。
 酵素の触媒作用でなく、「何らかの物質を加えることによる物理的刺激によって過酸化水素が分解し酸素が発生する」かどうかを調べるんだったら、触媒しない物質を加えて過酸化水素が分解し酸素が発生することをたしかめればよいですね。つまりbです。
 また、 (過酸化水素が分解されたのではなく)ニワトリの肝臓片自体から酸素が発生するというのなら、水にニワトリの肝臓片でも加えてろ、という話ですね。
解答 ④

B 遺伝子の本体であるDNAの存在を確認するために,ブ口ッコリーの花芽からDNAを抽出する実験を行った。植物細胞の細胞膜の外側は[ ア ]に囲まれているので,まず[ ア ]を含む構造を破壊するために、花芽を乳鉢に入れ,乳棒を用いてすりつぶした。DNAは、細胞の中の[ イ ],呼吸に関する細胞小器官である[ ウ ]、および光合成に関与する細胞小器官である[ エ ]に含まれている。そこで. これらの膜構造を破壊するために. 花芽をすりつぶしたものに中性洗剤を含む食塩水を加えて混ぜ. 10分間放置した。この破砕液を4枚重ねのガーゼでろ過し、ろ液に冷やしたエタノールを静かに注いだ。ろ液とエタ ノールの境界面にDNAが含まれる繊維状の物質が析出した。

問4 上の文章中の[ ア ]~[ エ ]に入る語の組合せとして最も適当なものを、次の①~⑧のうちから一つ選べ。
3175-2.jpg


植物細胞で細胞膜の外側にあるのは細胞壁。DNAといえば細胞の中でもまず核だから[ ア ][ イ ]はわかる。あとは選択肢を眺めて、葉緑体が呼吸と光合成に関係しているかと考えれば中学生でも正解可能ですね。
正解 ⑥

問5 DNAと遺伝情報に関する記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。
①ブロッコリーの花芽から抽出したDNAがもつ遺伝情報と,同じ個体のブロッコリーの葉から抽出したI)NAがもつ遺伝情報は一致する。
②ブロッコリーの花芽から抽出したDNAには,ブロッコリーの花芽に存在するタンパク質のアミノ酸配列に関する遺伝情報のみが存在する。
③ブロッコリーの花芽から抽出したDNAにはブロッコリーの根の発生に関わる遺伝子は含まれない。
④ブロッコリーの花芽から抽出したDNAの全塩基配列と同じ個体のブ ロッコリーの花芽から抽出したRNAの全塩基配列は一致する。


一つの個体は、一つの細胞(受精卵)から体細胞分裂を繰り返して作られてきたわけです。そして体細胞分裂では、染色体がきちんと複製されているわけですが、そこにあるDNAもきちんとコピーされているはずです。ってことは同じ個体ならば花芽だろうが葉だろうが、どこの細胞でも体全体の遺伝情報を同じように持っているはずです。
正解 ①

第2問
A ヒトを含む噛乳類の(a)血液は, (b)心臓を中心に循環している。血液は、液体成分の血しょうと,有形成分の(c)血球からなり、それぞれ異なる役割を果たしている。

問1 下線部(a)に関連して,植物のヤナギから抽出された成分を含む薬を飲んだ ところ. その作用によって,けがで静脈が傷ついた際に、通常よりも出血が止まりづらくなった。このときヤナギに含まれる成分が作用したと考えられるものとして最も適当なものを,次の①~④のうちからーつ選べ。
①赤血球  ②白血球  ③血小板  ④血清


出欠を止める働きがあるのは血小板ですね。
正解 ③
ところで、第2問の問1、問4、問5あたりは、昨年(2018年)夏に放送された「今期の保健アニメ」を見ていた人はラッキーだったかも。

問2
下線部(b)に関連して,血液循環は、心臓の左心室と右心室を仕切る壁によって,肺循環と体循環の二つに大別されている。肺循環では、全身から集められた血液が右心室から肺へと送られ、肺で二酸化炭素を放出し、酸素を 取り込んだ後,左心房へと戻る。体循環では、肺から戻った血液が左心室から全身へと送られ,毛細血管で各組織に酸素を供給し.二酸化炭素を受け取り,右心房へと戻る。この血液循環において,左心室と右心室を仕切る壁に大きな穴が開いた場合に起きると考えられる血液の循環の記述として最も適当なものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

① 肺静脈から左心房に戻ってきた血液の一部が,再び,肺へと送り出される。
② 肺動脈を流れる血液が、肺静脈を流れる血液よりも多くの酸素を含有する。
③ 左心室から送り出された血液の一部が. 全身を巡った後,左心房へと戻る。
④ 右心室から送り出された血液の一部が、肺に到達した後,右心房へと戻 る。


問題文の前半にある肺循環と体循環の詳細な経路は、むしろ中学校でみっちりやっている内容をつらつらと書いています。左心室と右心室を仕切る壁に大きな穴が開いた場合、つまり左心室・右心室間で血液が混じった場合に考えられることを聞いています。
① 左心房に戻ってきた血液が左心室、そして穴を通って右心室に流れると、再び肺に行きます。
② 左心室・右心室間に穴が開いても、肺動脈→肺→肺静脈という経路は変わらないので酸素量の逆転はない。
③④ 心臓から送り出された後の経路には影響はない。
正解 ①

問3 下線部(c)に関連して、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結合する割合は. 血液中の二酸化炭素の濃度によって変化する。図1 は静止している筋肉の血管における血液の酸素解離曲線を示している。活発に収縮をくり返 している筋肉の血管では血液中の二酸化炭素濃度は上昇する。一方,肺胞の血管における血液の二酸化炭素濃度は,静止している筋肉よりも低い。活発に収縮している筋肉と肺胞における血液の酸素解離曲線(実線)として最も 適当なものを、下の①~④のうちからそれぞれーつずつ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。また①-④の破線は,図1 に示した曲線と 同じものである。
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「赤血球に含まれるヘモグロビンが酸素と結合する割合は、血液中の二酸化炭素の濃度によって変化する。」というのですが、では血液中の二酸化炭素の濃度が大きくなると、ヘモグロビンが酸素と結合する割合はどうなるのでしょうか。そこが書いてありません。中学生の知識にもないのですが、血液中に二酸化炭素が多ければ、それだけ酸素も欲しているだろう、ということは、ヘモグロビンは酸素を結合という形で拉致せず、開放してくれているはずだ(つまり酸素と結合する割合は低くなる)…と想像できれば、
活発に収縮している筋肉→二酸化炭素が多い→酸素と結合する割合は低くなる→点線より下回るグラフ→
肺胞→二酸化炭素が少ない→酸素と結合する割合は多角なる→点線を上まっわるグラフ→


第3問
A 生態系の中では、物質や(a)エネルギーが様々な経路を通って移動している。 (後略)
問2 下線部(a)に関する記述として誤っているものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。
① 生産者が利用する光エネルギーは. 太陽から供給される。
② 消費者や分解者から放出された熱エネルギーは生態系内で循環しつづ ける。
③  生産者は,光エネルギーを化学エネルギーに変換して有機物中に蓄える。
④ 消費者は、 呼吸などに伴って化学エネルギーの一部を熱エネルギーとして放出する。
⑤ 分解者は、他の生物の遺体や排出物を分解して化学エネルギーを得る。


① 光合成を考えれば、そうですね。 
②放出された熱エネルギーが生態系内で循環し続けるということは、生態系がどんどん暑くなってくるということですが…?!持続可能ではありませんね。
③ これが光合成ですね
④ 呼吸ってそういうことですね
⑤ 分解者が遺体や排出物から有機物(化学エネルギー)を得ているわけですからこれも正しい。
正解 ②
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