セルロイド製造順序及製品標本(後編)

このブログで以前紹介したセルロイド製造順序及製品標本。今回はもう少し詳しくみていきます。
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セルロイドはどうやって作られていくのでしょうか。

白木綿を
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脱脂・漂白・抄紙して薄紙にします。
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それとは別に硝石(硝酸カリウム)に硫酸を加えることによって
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硝酸(と硫酸カリウム)ができます。2KNO3+H2SO4→2HNO3+K2SO4
この硝酸を蒸留すると強硝酸を精製します。
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さて、ここまででできた薄紙と濃硝酸、そしてさらに濃硫酸を加えると
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硝化作用により硝化紙(ニトロセルロース)ができます。
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この硝化紙を脱酸、洗浄、脱水し、樟脳と混和させ乾燥させると
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硝樟板ってものができます、これに
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酒精(エタノール)と
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顔料・染料で着色・溶解し
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着色塊ができます。
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これを壓延して壓延塊ができ、
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裁断・壓出などで形を整え、セルロイド棒、セルロイド管、セルロイド板となります。
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それを乾燥・艶付して成品になります。
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髪飾りや人形などセルロイドを使った製品です。
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で、なんで中学校にこんなものがあるかというと、かつて理科の授業でセルロイドを扱っていた時代があったのです。
昭和26年の学習指導要領にはこんな項目がありました。

第3学年 主題「科学の恩恵」
単元Ⅱ 天然資源を開発利用し,さらにこれから新しい物資をつくり出すのに科学はどのように役だっているか
学習の範囲と順序,学習活動
4.木材からどのようなものが造られるか
 (3) 人絹はどのようにして造られるか
  研究と発表 人絹のいろいろな利用を調べて発表する。(セロファン・不燃性セルロイドなど)
 (4) セルロイドはどのようにして造られるか
  話合い セルロイドの性質や用途について知っていることを話し合う。
  教師の実験と説明 セルロイドの製造過程について実験して示し,説明する。
  研究と発表,図表の作製 セルロイドの性質・利用などを調べて発表し,これらの一覧表を作る。


 昭和26年の学習指導要領は現在と違い、あくまでも試案であり、必ずこれをやらなくてはならないというものではありませんが、中3の理科の教科書に掲載され、それを使って当時の多くの中学生がセルロイドについて勉強していたことが推察できます。
 なお、このあと、学習指導要領は昭和33年に改訂されましたが、このとき経験主義から系統的な学習へと大転換がなされたので、セルロイドを含む多くの経験主義的な内容は消えてしまいました。

(追記 2018/3/30)
ただし、この標本は昭和26年の学習指導要領に基づいて作られたものではありません(断言)。
蓋には「セルロイド製造順序及製品標本 株式会社島津製作所標本部」と書かれているのですが、京都科学のサイトによると、島津製作所に標本部ができたのは明治28年、そして時代の要請により昭和19年に閉鎖されます。したがって、「島津製作所標本部」によるこの標本は少なくとも終戦前、もしかしたら大正時代の物かもしれません。

追記 2018/3/1
初等教育博物学標本目録. 1933のコマ番号78/111に掲載されています。さすがは国会図書館。
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