企画展「江戸の花だより」 Ⅲ園芸文化の興隆  Ⅳ暮らしの中の植物

Ⅲ 園芸文化の興隆

草花絵前集 197-0034(「女郎花」と 「てっせん」 47/59)
伊藤伊兵衛(三之丞)著 伊藤伊兵衛(政武)編  元禄12 年(1699)刊
 植木屋の伊藤三之丞が描いた原画を元に、息子である政武が編集した草花 の図譜。草花の絵を中心に据え、余白に花の色、開花時期などの解説が記され ています。当初は後集の刊行予定していたことから、「草花絵前集」という内題が付けられますが、結局、後集は刊行されませんでした。全1冊。昌平坂学問所旧蔵。


増補地錦抄 199-0380
伊藤伊兵衛(政武)著
植木屋の伊藤政武が著した園芸書。政武の父三之丞が著した『花壇地錦捗』 に図を追加して、宝永7 年(1710)に刊行されたものが『増補地錦抄』です。政武自身が描いた植物画が多数収録され、植物図鑑としても利用できる内容となって います。なお、展示資料は、享保18 年(1733)以降に刊行され、地錦抄シリーズである『増補地錦抄』、『広益地錦抄』、『地錦抄附録』を一括する刊本。全20冊。 内務省旧蔵。
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あさかほ叢 197-0046
四時庵形影著 文化13年(1816)序
 朝顔の珍種を収録した多色刷の図集。下巻には奇品・珍種の朝顔の育て方も記載されています。朝顔栽培の流行は上方で始まり、文化13 年に浅草で朝顔の品評会が開かれたことをきっかけに江戸で大流行し、変化朝顔と称される多種多様な朝顔が生み出されました。そうした流行の最中に刊行されたのが本書です。全2冊。内務省旧蔵。
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幻の黄色い朝顔
江戸時代の図譜には黄色い朝顔が描かれて います。当時は確かに存在していた黄色い朝顔 ですが、現代には伝来せず、「幻の朝顔」と呼ば れていました。しかし、平成26 年(2014)、 大学と企業による共同研究で、キンギョソウ由来の遺伝子を機能させることにより、黄色い朝顔の再現に成功します。江戸時代には遺伝子研 究は未発達なため、突然変異や交雑等によつて 品種改良を実現していました。人々の植物にか ける情熱もさることながら、観察眼の鋭さにも 驚かされます。


奇品家雅見 199-0354
増田繁亭編 関根雲停・大岡雲峰ほか画 文政10年(1827)刊
 江戸の青山(現在の港区北西部)で植木屋を営む増田繁亭(金太)が著した奇品植物の図録。別名「草木奇品家雅見」。「奇品」とは、形状が特異なもの、変わ ったもののことです。江戸および近郷の愛好家が所有する奇品植物約500 点を 収録し、所有者の名前と住所、逸話等と共に紹介しています。全3 冊。内務省旧蔵。
上之巻 (16/45)  中之巻 (15/46)


草木錦葉集  199-0353
水野忠暁編 関根雲停・大岡雲峰画 文政12 年(1829)刊
 斑入り植物を中心とした奇品植物図集。緒巻・前編・後編から成ります。緒巻では、斑の種類、栽培法、特殊な用語の解説、害虫駆除法などを述べ、前編・後編 では、いろは順に植物の図と解説を掲載しています。全7 冊。内務省旧蔵。
巻之五(18/26)   巻之六(40/44)


草木育種ソダテグサ 183-0235
岩崎灌園・阿部櫟斎著  文化15 年、天保8 年(1818、 1837)刊
岩崎灌園が著した『草木育種』(2冊)と、後にその遺漏を補うために阿部櫟斎 が著した『草木育種後編』(2冊)からなる園芸書です。『草木育種』、『草木育種 後編』ともに、上巻は草木の手入れ全般について、下巻は個々の植物の栽培法 について述べています。全4冊。内務省旧蔵。
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Ⅳ 暮らしの中の植物

成形図説  196-0102
曾槃ソウハン、白尾国柱著 文化元年(1804)刊  
第8代薩摩藩主の島津重豪シゲヒデが農業振興のため、本草学者の曾槃、国学者の白尾国柱に命じて編纂させた書。当初は百巻を越える大著を予定していましたが、 二度の火災で原稿・版木が失われたため、農事部、五穀部、菜部の3部30冊のみが刊行されました。各項目に、和名・漢名・蘭名を記しています。平易な解説と豊富な図により、わかりやすく実用的なものとなっています。全30冊。内務省旧蔵。
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有毒草木図説 264-0015
清原重巨著 文政10 年(1827)刊
有毒植物に関する図説。毒性のある植物122 品を選び、写生図と説明文を掲 載しており、植物の毒性に関する情報がわかりやすく記されています。著者およ び写生図の作者はいずれも尾張藩士で、中には尾張名古屋の本草学同好会で ある嘗百社ショウヒャクシャのメンバーもいました。全2 冊。昌平坂学問所旧蔵。
女青・石蒜(20/42)
 女青ジョセイ(やひとばな)とは、ヘクソカズラのこと。夏、花が開いて実を結び、冬に実が熟し、黄褐色になる。誤って食べると鼻血が出る。
 石蒜セキサン(てんがいばな)とは、ヒガンバナのこと。小児が誤って食べると、言語が拙くなるため、したまがりの名があるそうです。
水仙・狗舌草(7/40)
 水仙の根を誤って食べると、激しい下痢を引き起こすと記されています。
 狗舌草クゼツソウ(さわおぐるま)には小毒があります。旋覆花(をぐるま)のような黄色い花を咲かせます。


備荒草木図 197-0008
 建部清庵著 天保4 年(1833)刊
 飢謹の際に食糧となる植物を紹介した書。『民間備荒録』(建部清庵著)の付録の図集として作成されました。個々の植物について図を掲載し、文字の読めない者でも植物を探し出せるよう配慮されています。明和8年(1771)に草稿が完成するも出版に至らず、のちに清庵の子孫らによって校訂が行われ、天保4 年に刊行 されました。全2冊。内務省旧蔵。

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【翻刻】
稀僉メナモミ 嫩葉ワカハを煠ユデ、 水を換へ浸し、 苦ミを  去、塩・味噌・醤油に調、 食べし。
繁縷ハコベ 葉を煠、 水に浸し、 塩・味噌に調、食べし。
※マネして本当に食べてはいけません
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【翻刻】
 啇陸ヤマゴボウ  根薄く切 灰湯ニて 能煮、 二、三日水に 浸し糧となす。葉も亦灰湯にて煠、糧となすべし。
 鳳仙花ホウセンクワ  葉を煤、 水を換へ、 浸こと一夜、塩また 味噌・醤油に調、食べし。
※マネして本当に食べてはいけません


民間備荒録  182-0271
建部清庵著  明和8年(1771)刊
飢謹への対処方法、草木の調理法、解毒法などを記した書。一関藩の藩医であった清庵は、宝暦5年(1755)に東北地方で起こった大飢瞳の惨状を目の当たりにし、飢謹への対策として本書を執筆しました。 一関藩に本書を献上したところ、藩では早速写本を作成し、村々に配布したといわれています。全2冊。 農商務省旧蔵。
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【解説】繁縷には毒がなく、菜(おかず)として役に立ちます。唐代の陳臓器の著作には、血流を良くし、母乳が出るようになることから、産婦は食べた方がよく、茹でてから食べるとよいとあります。
(※現在では違うかもしれないのでマネして食べないように)



庶物類纂の本箱
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今回の企画展はきれいな植物画が多く、見て楽しめました。植物のスケッチという視点で見ても面白く、観察眼というものは時代が古くても変わらないんだなと、当たり前のことに気が付きました。
それにしても火災で焼失というもったいない話がチラチラありましたが、火事多すぎ。気を付けましょう。。。
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